日頃、さまざまな方を対象にコミュニケーションやメンタルヘルスの研修講師をしていて感じるのは、驚くほど“アサーティブコミュニケーション(以下”アサーション“)”という言葉を知らない方が多いということです。逆に“傾聴”という言葉は大人であればほとんどの方が知っています。
私は対人コミュニケーションの基本は“話すこと”と“聴くこと”だと思っているのですが、アサーションは相手に自分のメッセージを上手に伝えるための“話し方”です。誰でもこのスキルを身に付けることで、自分自身もストレスをためず相手にもストレスを掛けず、お互いの関係も壊さずに建設的な話し合いができます。その結果、どちらが勝った/負けたではなく、ともに納得できる最良の結論を出すことができれば、これほど良いことはありません。
私が初めてアサーションを学んだのは今から15年以上も前のことですが、その時から「一人でも多くの方にアサーションを知ってほしい。身に付けてほしい」と思ってきました。このスキルは上司、部下、社内の他部署、取引先など、関わる全ての方とのビジネスコミュニケーションに生かせるだけではなく、仕事以外のさまざまな人間関係に活用できます。皆さんもぜひこの本を読んで、実践を通してその効果を実感してください。